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【FF14】暁月のフィナーレ公開負荷テスト後の開発セクションの話が現役エンジニアから見てなかなか興味深かった

 8月27日の夜間に行われたFF14の公開負荷テスト後にFF14の開発のお仕事紹介がありまして、これがなかなか興味深かったです。

昔は一括にゲームプログラマーにされていたんですが、最近はゲーム業界も職種が細分化されてます。(クライアント、サーバー、グラフィックス他)

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プログラマーの仕事

何が興味深かったかというと、いわゆる花形であるクライアント・グラフィックス系職種以外に、一般にはあまり知られていない職種が配信中に紹介されたことですね。具体的にはCI班のお仕事です。

私は社内向けのWEB系エンジニア+CI/CD(継続的インテグレーションと継続的デリバリー)エンジニアをやっているんですが、こんなにわかりやすく仕事内容を紹介しているのは見たことがないかも。

Web系は人気があるので最近は学生向けにも人気がありますが(IT企業にインターンとか多い)、CI/CDはDevOPSとも関連するので(というか兼ねる人が多い)とっつきにくい印象があるかと思います。

 

IT、特にWEB系エンジニアでどういう職種があるのかは以下の書籍がわかりやすいです。IT企業へ就活する方に特にオススメ。

 

なお、FF14の開発セクションでは、Web系は外注しているそうです。正社員の採用はゲーム系に関するプログラマーみたいですね。Webは変化が激しく競争も激しい業界なので単価を考えるとアリなのかも。(どことどこを比較して、より安いとこに発注するとか)

youtu.be

お仕事紹介のお話は動画の2:03:52くらいから始まります。 

 

CI班

FF14のCI班のお仕事は一般的なCI/CDと似通っていて、

  • プログラムのビルドシステム構築・管理、自動化
  • 開発・検証用サーバー管理

などが主な仕事らしいです。

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CI

おそらくJenkins等を使用してビルドは自動化、社内の開発・検証向けのデプロイサーバにデプロイしていると思います。FF14はクロスプラットフォームのため、ビルド時間は数時間かかるみたいですね。(PC・Mac・PS4・PS5) 

他社だとこれにiOS(iPhone/iPad)・Andorid・ChromeOSなど展開しているところがあるのでもっと時間がかかるかもしれません。(最近のMMORPGはスマートフォン版と並行開発しているところが多いです)

開発・検証であるあるネタなのですが、夜間のビルドに失敗していると翌朝のテストが実施できず困ることがあるんですよね。で、単純なビルド失敗であれば再度ジョブを実行すればいいんですが、コミット漏れがあると担当者に直してもらう必要があったりとか手間がかかります。

単純なコンパイルエラーとかだと他の担当でも対応可能ですが、そもそも必要なファイルがコミットされていないと担当者以外ではどうしようもありません。番組中では吉田Pが「どうしてもビルドが必要な場合は今回はこのEXEで」などと緊急対応しているという説明もありましたね。

 

※コミット(commit)などGit関連については以下の書籍がわかりやすいです。私は初版を買いましたが、最近改訂版が出たみたいですね。 

 

こんなふうにいろいろと運用・管理が大変なビルドシステムですが、これがないと開発担当者間で差異のあるプログラムができてしまい、いざリリースの時に困るんですよね(各担当者のマシンであのファイルがないとか依存関係がーとか)。そんなわけで現在はJenkins等のビルドシステムを使用して開発・検証用のビルドや、リリース用のビルドを生成している会社がほとんどだと思います。

 

開発・検証用サーバ、運用サーバの構築・保守も重要なお仕事ですね。吉田Pの「なるべくバージョンを上げたくない。ベンダーさんに保守期間をなんとか延ばしてもらっている」という発言は開発あるあるネタで思わず頷いてしまいました。

 

今回の配信が興味深かったのはこのCI/CDのお仕事紹介がYoutubeで生配信されていたことですね。モルボルさんも「縁の下的な」と発言されているとおり、地味な仕事ではありますが、開発・検証・リリース、その後の保守にも欠かすことのできないお仕事です。CI/CDエンジニアはスキル的にニッチなこともあってあんまり人がいないのですが、こういう紹介動画を参考にエンジニアが増えてくれればいいなぁと思いました。

 

コロナ禍で仕事のやり方が変わった

サーバー系のお仕事は数年前までかなりの激務だったように思います。朝早くから夜遅くまで働くいわゆるブラックハードな仕事だったのですが、コロナ禍の影響でリモート勤務が定着し、緊急対応にも出社あるいは会社に待機する必要がなくなり、快適に働くことができるようになりました。

 

ちなみに、スクエニのFF14担当部署ではヒカセンのエンジニアを募集中だそうです。FF14の仕様自体を知っていることが大きなアドバンテージになるのだとか。確かにゲームの仕様もさることながら膨大なゲーム内用語・ネット用語も多用するでしょうし、普通の一般的なビジネスを行う会社から転職するよりはコミュニケーションの面でも有利だろうなとは思います。

FF14の開発セクションではどのプログラム言語しか経験がない、などはあまり気にしなくていいそうです。おそらくクライアント・サーバー、Web系、CI/CDなどそれぞれの班で複数の言語を使用しており、何らかの開発経験があれば需要のある部署にアサインすることが可能だからだと思います。本人の希望もけっこう通りそうですよね。 

と、ここまで書いて私はどうかというと、好きなこと(プログラミング)を仕事にするのはいいですが、好きなゲームを作ることを仕事にしてしまうと、何年・何ヶ月も待った作品のリリース時の楽しみとか、漆黒編のようにストーリーの展開で驚いたりなど(新鮮な)楽しみが失われてしまうのでやらないと思います。(;´Д`)

 

オンラインサービスのお手本

ああ、でも他社オンラインゲームの開発・運営部署の社員さんが、スクエニのFF14開発をお手本にするのはわかるような気がします。スケジュール管理、立案、仕事の割当、プロモーション、顧客への還元とか非常に参考になりますものね。吉田Pの指示も的確ですごいですが、それに応えるスタッフの力量もハイレベルだと思います。(他社の大規模開発の現場だとだいたい鉄火場で病む。やっぱりユーザーの手に届いて楽しんでもらえることが一番のモチベーションなのかなーと)

WoWをお手本に開発を続けてきたFF14ですが、新生から8周年を経てアクティブユーザー(課金ユーザー)数が同作史上で最高数を更新したと番組中で報告がありました。

次の10年に向けた施策も検討を始めたそうで、しばらくは覇権MMORPGとして君臨し続けそうですね。日本発というところにもただただ驚きです。日本発のソフトウェアってグローバルで評価が低いのが定番なのに複雑なオンラインゲームの分野で高評価を得ているのが素晴らしいです。

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